東京地方裁判所 昭和27年(行)1号 判決 1974年4月03日
東京都武蔵野市吉祥寺本町一丁目一二番七号
原告
鈴木商事合資会社
右代表者清算人
鈴木キヨヘ
同
鈴木次平
右訴訟代理人弁護士
中條政好
東京都武蔵野市吉祥寺本町三丁目二七番一号
被告
武蔵野税務署長
右指定代理人
菅野由喜子
同
須藤哲郎
同
柴田定男
同
泉類武夫
主文
1 被告が昭和三一年二月二二日付で、原告の昭和二五年二月一日から昭和二六年一月三一日までの事業年度分法人税についてした更正のうち、所得金額一、〇一一、四三七円九三銭をこえる部分並びに被告が昭和二六年六月三〇日付及び昭和三一年二月二八日付で、原告が代表者鈴木新太郎に対して支給した賞与にかかる源泉徴収所得税についてした各納税の告知は、いずれも取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを三分し、その二を原告の、その余を被告の各負担とする。
事実
第一、当事者が求めた裁判
一、原告
被告が、(1)昭和二六年二月二八日付で、原告の昭和二四年二月一日から昭和二五年一月三一日までの事業年度分法人税についてした再更正、(2)昭和二六年六月三〇日付で、原告が右事業年度中に代表者鈴木新太郎に対して支給した賞与にかかる源泉徴収所得税についてした納税の告知、(3)昭和三一年二月二二日付で、原告の昭和二五年二月一日から昭和二六年一月三一日までの事業年度分法人税についてした更正(ただし、昭和三二年九月一一日付誤びゆう訂正により減額された部分を除く。)及び(4)昭和三一年二月二八日付で、原告が右事業年度中に代表者鈴木新太郎に対して支給した賞与にかかる源泉徴収所得税についてした納税の告知(ただし、昭和三二年九月一一日付誤びゆう訂正により減額された部分を除く。)は、いずれもこれを取り消す旨の判決
二、被告
原告の請求は、いずれもこれを棄却する旨の判決
第二、主張
一、原告の請求原因
1. 処分の経緯
(一) 原告は、昭和二五年三月三一日、昭和二四年二月一日から昭和二五年一月三一日までの事業年度(以下「本件第一事業年度」という。)分の法人税について一四三、三四三円の欠損の確定申告をしたところ、被告は、同年一〇月一〇日付で普通所得を四一八、〇〇〇円とする更正をし、更に、昭和二六年二月二八日付で普通所得を二、四三二、九〇〇円とする再更正をした。
(二) 被告は、原告が本件第一事業年度中に、当時の代表者鈴木新太郎に対して六二九、七〇五円の賞与を支給したものと認定し、昭和二六年六月三〇日付で、原告が源泉徴収して納付すべき所得税額を二七八、二六七円とする納税の告知をした。
(三) 原告は、昭和二六年三月三一日、昭和二五年二月一日から昭和二六年一月三一日までの事業年度(以下「本件第二事業年度」という。)分の法人税について二、四二七円の欠損の確定申告をしたところ、被告は、昭和三一年二月二二日付で所得金額を二、〇五九、一〇〇円、法人税額を七二〇、六八〇円とする更正をしたが、昭和三二年九月一一日付で、右更正に誤びゆうがあつたとして、所得金額を一、一〇一、八〇〇円、法人税額を三八五、六三〇円と訂正した。
(四) 被告は、原告が本件第二事業年度中に、当時の代表者鈴木新太郎に対して二、三三一、二七四円の賞与を支給したものと認定し、昭和三一年二月二八日付で、原告が源泉徴収して納付すべき所得税額を一、〇九五、六一六円とする納税の告知をしたが、昭和三二年九月一一日付で、右納税の告知に誤びゆうがあつたとして、認定賞与額を一、六六五、九〇四円、源泉徴収所得税額を七八二、九四〇円と訂正した。
2. 処分の違法性
しかし、被告がした本件各法人税更正(ただし、本件第一事業年度分法人税更正については、再更正のみを指す。以下において、「本件各更正」というときは、これと同じ。)及び源泉徴収所得税の各納税の告知は、次のとおりいずれも違法である。
(一) 本件各更正は、その通知書に理由の附記がないから、違法である。
すなわち、昭和二五年法律第七二号「法人税法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)による改正後の旧法人税法(昭和二二年法律第二八号。以下「旧法人税法」という。)第三四条第七項及び第三五条第五項は、再調査請求及び審査請求に対する決定の通知書にはその理由を附記すべきものとしている。その趣旨は、要するに、右決定をする税務官庁の調査及び判断を慎重にさせ、その恣意を禁じ、処分の公正と合理性を保障するとともに、当該法人に不服申立てのための便宜を与えようとするところにあるというべきである。そうであるとすれば、処分の通知書に理由を附記しなければならないとの要請は、再調査請求及び審査請求に対する決定についてのみではなく、更正(再更正を含む。)についても法律上当然にあるものというべきであり、理由を附記しない通知書をもつてされた更正は、少なくとも再調査又は審査の請求があつた場合にすみやかに理由を附記した通知書をもつて決定がされ、かつ、その理由中において更正の理由が示されるのでなければ、違法であることを免れないと解すべきである。
しかるに、被告は、本件各更正の通知書に理由を附記しなかつたばかりでなく、本件第一事業年度分法人税についてした再更正に対する原告の再調査請求に対しては何らの決定をせず、本件第二事業年度分法人税についてした更正に対する原告の再調査請求に対しては昭和三一年五月三一日付の通知書をもつて決定をしたが、右通知書には、「再調査の結果請求の理由なきものと認める。」と記載したにすぎない。そして、原告は、右決定に対して審査請求をしたが、東京国税局長は、いまだに何らの決定をしない。
したがつて、本件各更正は違法である。
(二) 本件第二事業年度分法人税についてされた更正は、更正をすることができる期間の経過後にされたものであるから、違法である。
すなわち、昭和二六年法律第六四号「法人税法の一部を改正する法律」による改正後の旧法人税法第三一条の二第一項によれば、確定申告書を提出した法人の当該申告にかかる事業年度分の課税標準又は法人税額については、更正は、確定申告書の提出期限から三年を経過した日以後においては、これをすることができないものとされている。そして、原告の本件第二事業年度は昭和二六年一月三一日に終了したから、その確定申告書の提出期限は同年三月三一日であり、原告は、右期限内に被告に対して確定申告書を提出したのに、被告が更正をしたのは昭和三一年二月二二日であるから、右更正は違法である。
また、前示昭和二六年法律第六四号の附則第三項は、昭和二六年四月一日前に終了した事業年度分について確定申告書を提出した法人の当該申告にかかる事業年度分の課税標準又は法人税額については、昭和三〇年四月一日以後は、更正をすることができないものとしているから、右更正は、この規定にも違反しており、違法である。
(三) 仮に、本件第二事業年度において、原告に被告主張のような脱漏所得があつたとしても、原告の右脱漏所得に対応する法人税の納付義務は時効によつて消滅した。
すなわち、会計法第三〇条によれば、金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、五年間これを行わないときは、時効によつて消滅するものとされているところ、当時、他の法律に法人税の徴収権の時効に関して定めた規定は存在しなかつたから、原告の右脱漏所得に対応する法人税の納付義務は、その法定納期限の翌日である昭和二六年四月一日から起算して五年の昭和三一年三月三一日の経過とともに時効によつて消滅した。
また、本件第二事業年度における認定賞与の支給による源泉徴収所得税の納付義務も、その納期限から五年間の経過とともに時効によつて消滅した。
このように、原告の本件第二事業年度分法人税及び源泉徴収所得税の納付義務が時効によつて消滅したから、右時効完成前にされた本件第二事業年度分法人税更正及び源泉徴収所得税の納税の告知は、遡つて違法となつたものと解すべきである。
(四) 本件各事業年度における原告の所得は、確定申告のとおり、いずれも欠損であつたし、原告は、本件各事業年度中に代表者鈴木新太郎に対し被告主張のような賞与を支給したことはないから、本件各更正及び各納税の告知は、いずれも違法である。
二、被告の答弁及び主張
1. 原告の請求原因1記載の事実は、いずれも認める。
2. 原告の請求原因2(一)記載の事実中、被告が本件各更正の通知書に理由を附記しなかつたこと、本件第一事業年度分法人税再更正に対する原告の再調査請求に対して被告が何らの決定をしていないこと、本件第二事業年度分法人税更正に対する原告の再調査請求に対して被告が原告主張のような決定をしたこと及び原告の審査請求に対して東京国税局長が何らの決定をしていないことは認める。
しかし、原告の本件第一事業年度分法人税再更正について適用される改正法による改正前の旧法人税法第三二条は、更正の通知書に理由を附記すべき旨定めていないし、原告の本件第二事業年度分法人税更正について適用される改正法による改正後の旧法人税法第三二条は、更正が青色申告書を提出した事業年度分についてされたものであるときに限つて、その通知書に理由を附記すべき旨定めているが、原告は、本件第二事業年度分法人税につき青色申告書を提出したものではない。したがつて、被告が本件各更正の通知書に理由を附記しなかつたことは、何ら違法ではない。
3. 原告の請求原因2(二)記載の主張は争う。
原告は、後述のとおり、本件第二事業年度において多額の所得があつたにもかかわらず、脱税の目的で二、四二七円の欠損という虚偽の確定申告書を被告に提出した。
原告の右行為は、昭和二六年法律第六四号による改正後の旧法人税法第三一条の二第一項及び右昭和二六年法律第六四号の附則第三項にいう詐偽その他不正の行為に該当するから、本件第二事業年度分法人税更正については、右各規定による期間の制限は適用されない。
4(一) 原告の請求原因2(三)記載の事実中、原告の本件第二事業年度分法人税及び源泉徴収所得税の納付義務が時効によつて消滅したことは争う。
(二) 被告は、原告に対し、昭和三一年二月二二日、本件第二事業年度分法人税更正の通知をすると同時に、右更正にかかる法人税について納税の告知をし、また、同月二八日、原告が同事業年度中に代表者に対して支給した賞与にかかる源泉徴収所得税について納税の告知をしたから、これによつて原告主張の消滅時効は、いずれも中断した。
仮に、原告主張の消滅時効が完成したとしても、それによつて、時効完成前にされた更正及び納税の告知が違法となるいわれはない。
5(一) 原告の本件第一事業年度における普通所得の認定根拠について
原告の本件第一事業年度における収支関係は、別紙第一目録記載のとおりであつて、当期利益は二、五六〇、七七四円一三銭であるから、被告が再更正において原告の普通所得を右金額の範囲内で二、四三二、九〇〇円と認定したのは適法である。
すなわち、
(1) 別紙第一目録記載の利益の部のうち、くず鉄・運賃等売上げの明細は、別紙第二目録の一記載のとおりであり、同じく損失の部のうち、くず鉄原価の明細は、別紙第二目録の二記載のとおりである。
(イ) 原告と東京芝浦電気株式会社(以下「東芝」という。)とのくず鉄売買取引について
東芝は、昭和二四年三月一八日付で当時の商工省から鋼くず四〇〇トンの配給割当てを受け、産業復興公団(以下「公団」という。)から鋼くずの払下げを受けられることになつたが、当時資金状態が悪く、一時に四〇〇トンもの鋼くずを買いつけることは困難であり、また、公団の払下げにかかる鋼くずは各地に散在していて、これを集荷するには相当の経験と技術を要したところから、形式上は原告を代理人として鋼くずの払下げ事務を代行させることとし、実質的には原告が買主となつて公団から鋼くずの払下げを受け、これを東芝に転売させることとした。そこで、原告は、昭和二四年一二月一日から昭和二五年一月二三日までの間に公団から別紙第二目録の二1記載のとおり鋼くず合計四八九トン二九〇キログラムを代金合計五八八、四〇五円四七銭で買い受け、これを東芝に対し別紙第二目録の一1記載のとおり代金合計一、四一八、九三四円で売り渡した。
なお、原告が公団から買い受けた鋼くずの代金額五八八、四〇五円四七銭は、次のとおり推計によつて認定した。
すなわち、公団は、昭和二四年一二月一日付及び同月一三日付の売払契約に基づき、原告に対し鋼くず合計一九五トンを代金合計二三四、五〇〇円で売り渡した。そこで、これに基づきトン当たり単価を計算すると、一、二〇二円五七銭となる。したがつて、原告が公団から買い受けた鋼くず合計四八九トン二九〇キログラムの代金額は、右単価に右数量を乗じて五八八、四〇五円四七銭と計算される。
また、原告は、そのころ公団以外の一般のくず鉄所有者から別紙第二目録の二2記載のとおり鋼くず合計一五二トン一四〇キログラムを代金合計一八二、九五九円(この金額も前記トン当たり単価一、二〇二円五七銭に基づいて推計した。)で買い入れ、これを東芝に対し別紙第二目録の一2記載のとおり代金合計五一九、九五一円で売り渡した。
(ロ) 原告と小林金属産業株式会社(以下「小林金属」という。)及び金属興業株式会社(以下「金属興業」という。)とのくず鉄売買取引について
原告は、小林金属及び金属興業に対しそれぞれ別紙第二目録の一3及び4記載のとおりくず鉄を売り渡した。
右くず鉄は、前記のとおり原告が形式上東芝の代理人として公団から払下げを受けた鋼くずのうち、東芝の検査に不合格となつたもので、公団から払下げを受けた鋼くずの剰余分(出目)に当たるため、この分の買入代金は前記東芝に納入した鋼くずの買入代金として計上ずみであるから、原告が小林金属及び金属興業との取引によつて得た別紙第二目録の一3及び4記載の代金合計一、二九七、一五九円五〇銭は、その金額が原告の利益金である。
仮に、右くず鉄は、原告が公団から払下げを受けた鋼くずの剰余分ではなく、一般のくず鉄業者から買い受けたものであるとしても、その買入金額は次のとおり推計することができる。
すなわち、右くず鉄は鋼くず及びダライ粉であり、その内訳数量は別紙第二目録の二の3から6までの数量欄に記載のとおりである。そして、鋼くずの買入金額は、前記鋼くずのトン当たり単価一、二〇二円五七銭に基づき、同目録の3及び5の金額欄記載のとおり算定される。また、ダライ粉の買入単価は、原告の本件第一事業年度決算報告書中の財産目録資産の部仕入商品欄に「ダライ粉 一五トン 一、二〇〇円」とあるので、この記載に基づきトン当たり八〇円であるとみるのが相当であるから、ダライ粉の買入金額は、同目録の4及び6の金額欄記載のとおり算定される。
(ハ) 大和運輸株式会社(以下「大和運輸」という。)等に対する運賃等の売上げについて
原告は、本件第一事業年度中に別紙第二目録の一5記載のとおり大和運輸等に対する運賃等の売上げ六八七、五四〇円二九銭の収入を得た。
右売上げ収入は、被告が原告の取引先金融機関について原告名義の預金(当時の原告代表者鈴木新太郎及びその家族名義のものを含む。)の状況を調査した結果、右売上高に相当する金額が原告の総勘定元帳の預金口座に記入されないまま預金されていることが判明して明らかになつたものである。
そして、原告は、本件第一事業年度分法人税確定申告書に添付した損益計算書の利益の部には、右売上高の記載を脱漏したが、右売上高に対応する経費については、給料、燃料費、修繕費、消耗品材料費等として、右損益計算書の損失の部に計上しているから、右売上高金額が当期利益金に加算されるべきこととなる。
(2) 別紙第一目録記載の損失の部のうち、法人税損金計上否認額二五〇、九五四円八〇銭は、改正法による改正前の旧法人税法第九条第二項によれば、法人が各事業年度において納付し又は納付すべき法人税は、普通所得の計算上これを損金に算入しない旨定められているにもかかわらず、原告が本件第一事業年度分法人税確定申告書添付の損益計算書の損失の部に未納法人税二五〇、九五四円八〇銭を計上していたので、被告においてこの計算を否認したものである。
(3) 仮に、別紙第一目録記載の利益の部のうち、くず鉄・運賃等売上げの計上が不当であるとすれば、次のとおり主張する。
すなわち、原告は、本件第一事業年度当時、普通自動車(トラツク)一一台、小型自動車一台を所有し、運送事業を営んでいた。このような事業規模から推計される年間収入は次のとおり九、〇〇〇、〇〇〇円となる。
1. 自動車が修理のため遊休する割合 四〇パーセント
2. 稼働割合 六〇パーセント
3. 原告所有の自動車の一日当たり稼働台数 六台
4. 年間稼働日数 三〇〇日
5. 年間稼働自動車台数 一、八〇〇台
6. 稼働自動車一台の一日当たり収入 五、〇〇〇円
7. 原告の年間推計収入 九、〇〇〇、〇〇〇円
ところが、原告が本件第一事業年度分法人税確定申告書添付の損益計算書に運送収入として計上したのは、わずか二、四七〇、八六七円一五銭であつて、同種事業を営む他の者と比較対照して余りにも過少である。
そこで、前記推計収入と原告が計上した運送収入との差額を本件第一事業年度の所得に加算すれば、優に被告が本件再更正において認定した所得金額を上回るから、本件再更正は結局において適法である。
(4) 仮に、本件第一事業年度分法人税再更正が違法であるとしても、原告は、右再更正に先行する更正によつて確定された課税標準の範囲内においては、再更正の取消しを請求することができない。
すなわち、具体的法人税債務は、申告によつて発生するが、更正は、右債務の成立を前提とし、申告にかかる課税標準に代わる正当な課税標準を定め、右債務を減額又は増額することを目的とするものであつて、更正による課税標準の減差分に応ずる債務を消滅させ、あるいは増差分に応ずる債務を追加的に発生させる効力を有する。そして、改正法による改正前の旧法人税法第三一条に基づく再更正は、先行する更正の効力を消滅させるものではなく、あたかも申告と課税標準を増額変更した更正との関係のように、新たな課税標準に基づいて追加的に法人税債務を発生させるものである。
更正及び再更正のこのような性格に照らせば、課税標準を増額変更した更正の取消しの請求及び再更正の取消しの請求は、それぞれ更正及び再更正によつて追加された部分の法人税債務を消滅させようとするものにほかならないと解すべきである。したがつて、更正の取消しの請求が不服申立期間の徒過等によつて許されなくなつた後においては、再更正の取消しの請求によつて、更正の効力をも否定しようとすることは許されないというべきである。
ところで、本件第一事業年度分法人税については、再更正に先立つて昭和二五年一〇月一〇日付で更正がされたが、原告は、これに対して法定期間内に再調査の申立てをしなかつたので、右更正の取消しを請求することができなくなつた。したがつて、再更正の取消しを請求する本訴において、右更正によつて確定された課税標準の範囲内における法人税債務を争うことはできない。
(二) 原告が本件第一事業年度中に代表者に対して支給した賞与の認定根拠について
(1) 本件第一事業年度及び第二事業年度当時、原告代表者鈴木新太郎は、原告から年額二一七、三〇〇円、北多摩小型運送株式会社から年額五二、五〇〇円、合計二六九、八〇〇円の給与所得を得ていたが、同人の個人財産は、後述のとおり右事業年度以降において異常に膨脹しており、同人の前記給与所得のみではそのような増加資産を取得することは不可能であるから、同人はこれを原告の利益金の社外流出金によつて取得したものと認めるのが相当である。
そして、本件第一事業年度における原告の社外流出利益金額は、同事業年度の利益金二、五六〇、七七四円一三銭全額であると認められるところ、当時の税務取扱慣行によれば、社外流出利益金のうち、当該法人が負担すべき法人税額を控除した残額につき認定賞与額を決定すべきこととされていたので、被告は、これに従い、右社外流出利益金額から原告が負担すべき法人税額等合計一、六四七、二三四円(本件第一事業年度分法人税一、三一七、六二〇円、同追徴税二七七、〇〇〇円、同事業年度上半期更正加算税六一四円、同更正追徴税五二、〇〇〇円の合計額)を控除し、更に、右利益金のうち一五五、九六一円は右確定事業年度末決定賞与支給額であるから、これを控除した残額七五七、五七九円一三銭の範囲内で、認定賞与額を六二九、七〇五円と決定した。
(2) 昭和二四年二月一日から昭和二七年一月三一日までの間における鈴木新太郎の個人財産の増加は次のとおりである。
(イ) 同人は、昭和二五年一二月一日、一、〇〇〇、〇〇〇円を払い込んで武蔵野運送株式会社の株式二〇〇株を取得した。
(ロ) 同人は、昭和二五年一二月初旬ころ、都市土木株式会社から武蔵野市境町所在の家屋九棟及び機械設備を買い受け、同社に対し同月から昭和二六年二月三日ころまでの間に代金として少なくとも一、二五〇、〇〇〇円を支払つた。
(ハ) 同人は、昭和二六年四月、奥多摩振興株式会社の名義で日本自動車株式会社からBR20型バス一台を買い入れ、同社に対し同月から同年一〇月までの間に代金として少なくとも二、〇一二、七三六円を支払つた。
ところで、同人は、昭和二五年一二月一日、原告から右各資産の取得資金に充てるため一、〇〇〇、〇〇〇円を借り受けたが、その後一部を返済して、昭和二七年一月三一日現在の借入残高は三八三、三九三円四二銭であつた。
したがつて、同人の昭和二四年二月一日から昭和二七年一月三一日までの間における資産の増加額は、少なくとも前記(イ)から(ハ)までの合計四、二六二、七三六円から右借入残高三八三、三九三円四二銭を差し引いた三、八七九、三四二円五八銭であるが、原告の昭和二六年二月一日から昭和二七年一月三一日までの事業年度の所得はわずか三七九、五七九円にすぎず、右事業年度においては利益金が社外に流出した事実は認められないから、同人は、前記増加資産を原告の本件第一事業年度及び第二事業年度の利益金の社外流出金によつて取得したものと認めるほかはない。
(三) 原告の本件第二事業年度における所得の認定根拠について
原告の本件第二事業年度における収支関係は別紙第三目録記載のとおりであつて、当期利益金は一、一一六、八四六円四三銭であるから、被告が更正(ただし、一部誤びゆう訂正後のもの)において原告の所得金額を右金額の範囲内で一、一〇一、八〇〇円と認定したのは適法である。
すなわち
(1) 別紙第三目録記載の利益の部のうち、くず鉄等売上げの明細は、別紙第四目録の一記載のとおりであり、同じく損失の部のうち、くず鉄等仕入れの明細は、別紙第四目録の二記載のとおりである。
(イ) 原告と東芝製鋼株式会社とのくず鉄売買取引について
原告は、本件第二事業年度中に、別紙第四目録の二1記載のとおり公団から鋼くず四七九トン九四〇キログラムを買い受け、これを別紙第四目録の一1記載のとおり東芝製鋼株式会社(東芝足立工場が昭和二五年二月一一日東芝から分離し、株式会社足立製鋼所として発足し、昭和二七年一二月一日東芝製鋼株式会社と商号変更したもの。以下「東芝製鋼」という。)に売り渡した。
ところで、原告が公団から買い受けた右鋼くずのうち二五八トン三二〇キログラムとその買入代金四八七、五四二円(別紙第四目録の二1(イ))は、原告と公団との間の売払契約書によつて明らかであるが、その余の買入数量及び買入代金は、次のようにして算出される。
すなわち、原告が公団から買い受けた鋼くずの数量及び金額は、別紙第四目録の三記載のとおりである。
右のうち、割当切符二四鉄第八一〇号に基づく第六回から第八回までの各回別買入数量は不明であるが、右切符に基づく買入総数量は三九九トン九四六キログラムであるから、これから第六回から第八回までを除くその余の買入数量の合計を差し引いた残数量四二トン八五六キログラムが第六回から第八回までの買入数量の合計である。
そして、右四二トン八五六キログラムの鋼くずの買入金額は、時期的に近接している第五回及び第九回のトン当たり買入単価を求め、両者を平均した二、六二三円をトン当たり買入単価とみなして、これを右数量に乗じ、一一二、四一一円と算出される(別紙第四目録の二1(ロ)(1))。
次に、以上の買入数量合計三〇一トン一七六キログラム(別紙第四目録の二1(イ)(1)、(2)及び(ロ)(1)の合計数量)と原告が東芝製鋼に売り渡した数量四七九トン九四〇キログラムとの差一七八トン七六四キログラムは、割当切符東産総復第一一号に基づく第一回から第三回までの買入れにかかるものである。
右第一回から第三回までの買入単価は不明であるが、右切符による第四回のトン当たり買入単価二、一四九円を右一七八トン七六四キログラムの買入単価とみなして、これを右数量に乗じ、その買入金額は、三八四、一六三円と算出される(別紙第四目録の二1(ロ)(2))。
以上によつて原告が東芝製鋼に売り渡したくず鉄四七九トン九四〇キログラムの買入金額を計算すると、合計九八四、一一六円となる(別紙第四目録の二1)。
(ロ) 原告と小林金属とのくず鉄売買取引について
原告は、本件第二事業年度中に、小林金属に対しくず鉄合計一一九トン〇四九キログラムを代金合計三一八、八〇八円で売り渡した(別紙第四目録の一2)。
右くず鉄の買入金額は不明であるが、原告の本件第二事業年度の決算報告書中の財産目録資産の部仕入商品欄に「ダライ粉 一五トン 一、二〇〇円」と記載されているので、これに基づきダライ粉のトン当たり買入単価八〇円を求め、これに基づき右くず鉄の買入金額を九、五二四円と推計した(別紙第四目録の二2)。
(ハ) その他(アングル)の仕入れ及び販売について
原告は、本件第二事業年度中に、東芝製鋼から、その販売代理店中村鋼材株式会社を経由して、別紙第四目録の二3記載のとおり、アングル九トン八五三キログラムを代金二四〇、四〇二円で買い入れた。その明細は別紙第四目録の四記載のとおりである。
ところが、右アングルは、原告の本件第二事業年度の決算書類中に、期末たな卸商品として記載されていないから、原告は、これを同事業年度中に他に販売したものと認められる。
そして、その売上金額は、原告が公団から買い入れて東芝製鋼に売り渡した前記鋼くずの買入金額と売上金額の比率に基づいて、次のとおり五〇九、三二六円と推計される。
<1> 東芝製鋼に対する売上金額(別紙第四目録の一1)二、〇八六、八〇二円
<2> 公団からの買入金額(別紙第四目録の二1)九八四、一一六円
<3> アングル売上金額(買入金額二四〇、四〇二円×<1>/<2>)五〇九、三二六円
(2) 別紙第三目録記載の損失の部のうち租税公課五八四、九五二円一〇銭の内容は次のとおりである。
(イ) 原告は、本件第二事業年度分法人税確定申告書添付の損益計算書の損失の部に、租税公課として六一四、三七一円一〇銭を計上していた。
(ロ) しかし、右のうち、法人税二六三、六三九円は、改正法による改正後の旧法人税法第九条第二項により、また、資産再評価税五八、七二〇円は、資産再評価法第一二〇条により、いずれも本件第二事業年度の所得の計算上損金に算入することが認められない。
(ハ) 他方、原告の本件第一事業年度分法人税再更正にかかる普通所得二、四三二、九〇〇円に対応する未納事業税二九一、九四〇円は、損金に算入すべきである。
(ニ) そこで、被告は、(イ)の六一四、三七一円一〇銭から、(ロ)の二六二、六三九円及び五八、七二〇円の合計三二一、三五九円を控除したうえ、(ハ)の二九一、九四〇円を加算した五八四、九五二円一〇銭を原告の本件第二事業年度の所得の計算上損金に算入すべき租税公課として認めた。
(四) 原告が本件第二事業年度中に代表者に対して支給した賞与の認定根拠について
原告は、前記のとおり、本件第二事業年度において、くず鉄等売上げ二、九一四、九三六円があつた(別紙第四目録の一)にもかかわらず、これを原告の帳薄から故意に脱漏し、右くず鉄等の買入金額一、二三四、〇四二円(別紙第四目録の二)との差額一、六八〇、八九四円の売買差益を隠ぺいした。
そして、右差益金はすべて社外に流出し、原告の資産として留保されておらず、他方、前記のとおり((二)の(2))、当時の原告代表者鈴木新太郎の個人財産は著しい増加を示し、右増加資産の取得に要した資金は、原告の本件第一事業年度及び第二事業年度の利益金の社外流出金によつてまかなわれたものと認められるから、被告は、右差益金の範囲内で、一、六六五、九〇四円を原告が鈴木新太郎に対して賞与として支給したものと認定した。
三、被告の主張に対する原告の認否及び反論
1. 被告の答弁及び主張3記載の事実中、原告が脱税の目的で虚偽の確定申告書を提出したことは否認する。
2. 被告の答弁及び主張4(二)記載の事実中、被告が本件第二事業年度分法人税更正にかかる法人税について納税の告知をしたことは否認する。
3(一) 被告の答弁及び主張5(一)について
(1) 被告は、原告には本件第一事業年度においてくず鉄・運賃等売上げ又は運賃収入による脱漏所得があつた旨主張するが、仮にそのような脱漏所得があつたとしても、被告がそれを発見したのは、本件再更正後のことである。そして、このように更正(再更正)後に発見された脱漏所得につき具体的納税義務を発生させるためには、更に更正(再々更正)を行うべきであつて、右脱漏所得の存在をもつて、その発見前にされた更正(再更正)の適応性を理由づけることは許されないと解すべきである。なぜなら、そう解さなければ、納税者は、右脱漏所得の存在を争うにつき、再調査の請求及び審査の請求をする機会を奪われるばかりでなく、無責任な更正を乱発するおそれがあるからである。
(2) 被告が本訴において原告の本件第一事業年度の普通所得について主張するところは、いずれも推計に基づくものである。
しかし、法人の所得の計算につき推計を認めた改正法による改正後の旧法人税法第三一条の四第二項は、昭和二五年四月一日以後に終了する事業年度分の法人税から適用され(改正法附則第三項)、同日前に終了した事業年度分の法人税については、従前の例によるものとされている(改正法附則第四項)ところ、改正法による改正前の旧法人税には、法人の所得の計算につき推計を許した規定は存在しない。したがつて、同日前に終了した原告の本件第一事業年度の普通所得を推計によつて主張するのは失当である。
(3) 原告の本件第一事業年度における別紙第一目録記載の収支計算中、損失の部のくず鉄原価及び法人税損金計上否認並びに利益の部のくず鉄・運賃等売上げは否認する(その余の収支計算は認める。)。
すなわち、
(イ) 原告は、被告主張のように、くず鉄を公団等から買い入れ、東芝等に売り渡したことはない。被告主張のくず鉄の売買取引を行つたのは、東京都品川区大井鈴ケ森町一、九三五番地の訴外の鈴木商事であつて、その経営者は鈴木辰こと鈴木タツ及び小野馬雄である。原告は、右鈴木商事の依頼により公団からの払下品と思われる若干のくず鉄を運送し、いくばくかの運賃を受け取つたにすぎない。
また、原告には、本件第一事業年度において、別紙第二目録の一5記載のような運賃等の売上げは存在しなかつた。
(ロ) 被告は、原告が本件第一事業年度分法人税の確定申告において未納法人税二五〇、九五四円八〇銭を損金に計上したのを否認したが、改正法による改正前の旧法人税法第九条第二項は、当該事業年度分の法人税を普通所得の計算上損金に算入しないという趣旨であつて、過年度分の未納法人税については適用されないと解すべきであり、過年度分法人税は、確定申告により具体的租税債務となり、納期の経過により他の一般の確定債務と同じく経理上未払金となるから、原告が右のとおり過年度分法人税を損金に計上したのは正当である。
(ハ) 原告の所有自動車台数を基礎とする運送収入の推計は、次のとおり不合理である。
すなわち、本件第一事業年度当時、自動車は、自家用、営業用の区別なく、自動車用石油製品割当規則により、必ず登録してガソリン等の配給を受けていた。原告は当時被告主張のとおり合計一二台の自動車を所有していたが、そのうちの登録車両は三台であり、他は休車となつていた。しかも、登録した三台のうちの一台は予備車であつた。
更に、本件第一事業年度の全期間を通して原告に勤務していた運転手はわずか二名にすぎず、他の運転手は、昭和二四年三月一〇日、同年四月一日及び同年五月三一日に各一名が退職し、その補充は行われていない。
以上の事実を看過してされた被告の推計に合理性がないことは明らかである。
(二) 被告の答弁及び主張5(二)について
(1) 被告の答弁及び主張5(二)(1)記載の事実中、本件第一事業年度において、原告の利益金が社外に流出したこと及び鈴木新太郎が右社外流出金によつて個人資産を取得したことは否認する。
(2)(イ) 同(2)(イ)記載の事実は認める。
しかし、鈴木新太郎は、原告が昭和二五年一二月一日日本無尽株式会社から借り入れた一、〇〇〇、〇〇〇円を原告から借り入れ、これを株式払込金に充当したものであり、同人は、後日、原告から毎月支払いを受けるべき地代債権と相殺して原告からの右借入れ債務を弁済した。
(ロ) 同(2)(ロ)記載の事実中、鈴木新太郎が被告主張のころに都市土木株式会社から被告主張の家屋九棟及び機械設備を買い受けたことは認める。
しかし、同人は、右家屋を取壊しの目的で取得したものであり、右家屋は腐朽していて、その価格は坪当たり五〇〇円であつた。そして、同人は、買受代金のうち三五〇、〇〇〇円を支払つただけであり、しかも、そのうち一〇〇、〇〇〇円は秋本利雄から、一五〇、〇〇〇円は藤野滝蔵から借用したものであるが、右借入金はまだ返済していない。
(ハ) 同(2)(ハ)記載の事実は認める。
しかし、鈴木新太郎は、買い入れたバスを使つて開始する予定であつた観光業の許可を得られなかつたので、右バスを返還し、すでに支払いずみの代金二、〇一二、七三六円のうち七〇〇、〇〇〇円の払戻しを受けて、売買契約を解消した。
(ニ) 同(2)のその余の記載事実中、鈴木新太郎の昭和二四年二月一日から昭和二七年一月三一日までの間における資産の増加額が三、八七九、三四二円五八銭であつたこと並びに同人が右資産を原告の本件第一事業年度及び第二事業年度の利益金の社外流出金によつて取得したことは否認する。
(三) 被告の答弁及び主張5(三)について
原告の本件第二事業年度における別紙第三目録記載の損益計算のうち、損失の部のくず鉄等売上げは否認する(その余の計算は認める。)。
すなわち
(1) 原告は、被告主張のように、くず鉄等を公団等から買い入れ、東芝製鋼等に売り渡したことはない。被告主張のくず鉄等の売買取引を行つたのは、本件第一事業年度における取引と同様、訴外の鈴木商事である(前記(一)(3)(イ)参照)。
(2) 原告が本件第二事業年度分法人税の確定申告において損金に計上した租税公課六一四、三七一円一〇銭のうち、法人税二六二、六三九円及び資産再評価税五八、七二〇円は、いずれも過年度分の未納税であつて、改正法による改正後の旧法人税法第九条第二項及び資産再評価法第一二〇条は、改正法による改正前の旧法人税法第九条第二項について述べたのと同様(前記(一)(3)(ロ)参照)、過年度分の未納税については適用されないと解すべきであるから、原告が右のとおりこれを損金に計上したのは正当である。
(四) 被告の答弁及び主張5(四)について
本件第二事業年度において、原告がくず鉄等売上げを原告の帳薄から故意に脱漏し、くず鉄等の売買による差益を隠べいしたこと及び鈴木新太郎が原告の利益金の社外流出金によつて個人資産を取得したことは否認する。
第三、証拠関係
一、 原告
1. 提出した書証
甲第一号証から第四号証まで、第五号証の一から五まで、第六号証の一、二、第七号証から第一一号証まで、第一二号証の一、二、第一三号証の一から三まで、第一四号証の一から六まで、第一五号証の一の1から60まで、同号証の二の1から28まで、同号証の三の一、二、同号証の四、第一六号証、第一七号証の一から七まで(鈴木新太郎が昭和二五年一二月初旬ころ都市土木株式会社から買い受けた武蔵野市境町所在の家屋の写真)、第一八号証、第一九、第二〇号証の各一、二、第二一号証の一から六まで、第二二、第二三号証、第二四号証の一、二、第二五号証から第三〇号証まで、第三一号証の一、二、第三二号証の一から三まで、第三三号証の一、二、第三四号証及び第三五号証
2. 援用した証言等
証人小野馬雄、同鈴木タツ、同清本敏克、同丸山録郎及び同鈴木幸子の各証言並びに原告代表者(ただし、尋問当時)鈴木新太郎尋問の結果
3. 乙号証の成立についての認否
第一号証の一から七まで及び九から一五まで、第二号証の一、二、第一三号証の一、第一四号証の一から四まで、第二二号証の一から三まで、第三一号証から第四一号証まで、第四六、第四七号証並びに第四九号証の一、二の成立は否認する。
第二三号証の一、二及び第四四号証の成立は知らない。
その余の乙号各証(ただし、第五一、五二号証及び第五三号証の一、二を除く。)の成立は認める。
二、被告
1. 提出した書証
乙第一号証の一から七まで及び九から一五まで、第二、第三号証の各一、二、第四号証、第五号証の一から四まで、第六号証の一、二、第七号証、第八、第九号証の各一、二、第一〇号証の一から三まで、第一一号証、第一二、第一三号証の各一から三まで 第一四号証の一から四まで、第一五号証から第一七号証まで、第一八号証の一、二、第一九号証、第二〇号証の一、二、第二一号証の一から四まで、第二二号証の一から三まで、第二三号証の一、二、第二四号証、第二五号証から第二八号証までの各一、二、第二九号証から第四一号証まで、第四二号証の一、二、第四三、第四四号証、第四五号証の一から七まで、第四六、第四七号証、第四八、第四九号証の各一、二、第五〇号証から第五二号証まで並びに第五三号証の一、二(なお、乙第一号証の八は欠番)
2. 援用した証言
証人羽柴幸助、同大谷哲郎、同人見和一、同黒沼逸郎、同荒川照雄、同久我行雄、同矢田進、同成田栄、同中村信行、同中山五郎(第一、二回)、同平山平吾及び同中島茂の各証言。
3. 甲号証の成立についての認否
第一号証から第四号証まで、第五号証の一から五まで、第一二号証の一、第一四号証の一から五まで、第一七号証の一から七まで、第一九号証の一、二、第二〇号証の一、第二一号証の一から六まで、第二二、第二三号証、第二四号証の一、二、第二五号証から第三〇号証まで、第三一号証の一、二、第三二号証の一及び三、第三三号証の一、二並びに第三四、第三五号証の成立は認める(第一七号証の一から七までについては、原告主張のとおりの写真であることを認める。)。
その余の甲号各証の成立は知らない。
理由
一、処分の経緯
原告の請求原因1記載の事実は、当事者間に争いがない。
二、処分の適否
1. 更正通知書の理由附記について
原告は、本件各更正の通知書には、更正の理由が附記されていないから、本件各更正は違法であると主張する。
しかしながら、本件第一事業年度分法人税再更正について適用される改正法による改正前の旧法人税法には、更正通知書に更正の理由を附記しなければならない旨定めた規定はないし、また、本件第二事業年度分法人税更正について適用される改正法による改正後の旧法人税法には、更正が青色申告書を提出した事業年度分についてされたものであるときは、通知書に更正の理由を附記しなければならない旨の規定(第三二条後段)があるにすぎないところ、原告は本件第二事業年度分法人税について青色申告書を提出したものでないことが明らかである。そして、更正通知書に更正の理由を附記しないことが更正の違法事由となるのは、法が明文で理由の附記をしなければならない旨定めている場合に限られると解すべきであり、これと異なる見解に立つ原告の主張はこれを採用することができない。したがつて、本件各更正の通知書に更正の理由が附記されていないからといつて、本件各更正が違法であるとはいえない。
2. 更正の期間制限について
原告は、本件第二事業年度分法人税更正は、昭和二六年法律第六四号による改正後の旧法人税法第三一条の二第一項及び右昭和二六年法律第六四号附則第三項の定める更正をすることができる期間の経過後にされたものであるから違法であると主張する。
しかしながら、昭和二六年法律第六四号による改正後の旧法人税法第三一条の二の規定は、法人の昭和二六年四月一日以後終了する事業年度分の法人税から適用され、同日前に終了した原告の本件第一事業年度分の法人税には適用されないことは、同法律附則第二項によつて明らかである。また、同法律附則第三項の定める期間の制限は、法人が詐偽その他不正の行為により法人税を免れた場合には適用されないことがその規定自体から明らかである。そして、原告は、後に認定するとおり、本件第二事業年度において多額の所得があつた(後記4(三))にもかかわらず、二、四二七円の欠損という確定申告をしたのであり、右申告もれの所得は原告に帰属するものではなく、鈴木タツ及び小野馬雄に帰属するものである旨の原告の主張は採用することができないことは後に判示するとおりであるが(後記4(一)(3)(ロ)(b)及び(4)(三)(2))、右判示に当たり認定した諸事実に照らし、原告は、右申告もれの所得が原告に帰属することを十分に知りながら、脱税の目的で虚偽の確定申告をしたものと認められるから、詐偽その他不正な行為によつて法人税を免れたものというべきである。
したがつて、前記各規定の定める期間の制限は、本件第二事業年度の右申告もれ所得にかかる法人税についてする更正については適用されないから、原告の前記主張は失当である。
3. 消滅時効について
(一) 原告は、本件第二事業年度分法人税及び源泉徴収所得税の納付義務は、時効によつて消滅したと主張する。
(二) ところで、会計法第三〇条によれば、金銭の給付を目的とする国の権利で、時効に関し他の法律に規定がないものは、五年間これを行わないときは、時効により消滅するものとされているところ、国税通則法(昭和三七年法律第六六号)の制定前は、法人税及び源泉徴収所得税の徴収権の消滅時効について定めた他の法律の規定は存在しなかつた。
(三) そして、改正法による改正後の旧法人税法によれば、納税義務がある法人は、各事業年度終了の日から二か月以内に確定申告書を提出し、かつ、当該申告にかかる法人税を納付しなければならず(第一八条第一項、第二六条第一項)、確定申告書が提出された場合において、申告にかかる課税標準又は法人税額が政府において調査したところと異なるときは、政府はその調査により課税標準又は法人税額を更正し(第二九条第一項)、政府は、課税標準又は法人税額を更正した場合においては、更正の通知をした日から一か月後を納期限として不足税額を徴収する(第三三条第一項)とされていた。このような法の規定のもとにおいて、政府が法人の申告もれの所得にかかる法人税の徴収権を行使することができることとなる時、すなわち、右徴収権の消滅時効の起算点をいつと解すべきかについては、疑問の存するところであるが、本件においては、原告が確定申告書を提出したことは当事者間に争いがないから、原告に被告主張のような申告もれの所得があつたとすれば、政府が右所得にかかる法人税の徴収権を行使することができることとなつた時、すなわち、右徴収権の消滅時効が進行を開始した時は、少なくとも同年四月一日以降であつたことが明らかである。
ところで、証人中島茂の証言、これにより成立の認められる乙第五一号証及び乙第五三号証の一、二並びに弁論の全趣旨によれば、被告は、本件第二事業年度分法人税更正にかかる法人税について旧国税徴収法(明治三〇年法律第二一号)第六条の規定に基づく納税の告知をするため、昭和三一年二月二二日、右法人税の納税告知書を更正の通知書と同封して原告あてに郵便で発送し、間もなくこれが原告に送達されたことが認められる。したがつて、前示徴収権の消滅時効の進行が開始してから五年以内に右のとおり納税の告知がなされたことにより、右消滅時効は、中断されたことになる(会計法第三二条)。
そうすると、原告の本件第二事業年度分法人税の納付義務が時効によつて消滅した旨の原告の主張は理由がない。
(四) 次に、本件第二事業年度当時の旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)によれば、個人に対し給与所得の支払いをする者は、その給与の支払をする際、所定の税額の所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月一〇日までに、これを政府に納付しなければならない旨定められ(第三八条第一項)、また、源泉徴収して納付すべき所得税を納付しなかつたときは、国税徴収の例により、これを支払者から徴収する旨定められていた(第四三条第一項)のであり、源泉徴収による所得税の納付義務は、源泉徴収をすべきものと定められている所得の支払いがあつた時に成立し、成立と同時に特別の手続を要しないでその税額が確定するものである。
ところで、被告は、原告は本件第二事業年度中に代表者に対して賞与として二、三三一、二七四円を支給したと主張するが、右賞与は、原告が事業年度終了後に確定した決算に基づいて支給したものではなく、事業年度中に代表者が原告の所得を随時社外に流出せしめたものであることが被告の主張自体から明らかであるから、原告が右賞与を代表者に対して支給した日は、本件第二事業年度終了の日以前であるといわなければならない。
そうすると、政府の原告に対する右賞与の支給による源泉徴収所得税の徴収権は、遅くとも原告の本件第二事業年度の終了の日の属する月の翌月一〇日の翌日である昭和二六年二月一一日から、法律上これを行使することができ、したがつて、右徴収権の消滅時効は、同日から進行を開始したものというべきである。
そうすると、右徴収権は、同日から五年を経過した昭和三一年二月一一日に時効によつて消滅したことになる(被告は、同日前に右徴収権の消滅時効の完成を防げる事由があつたことを主張立証しない。)。
したがつて、本件第二事業年度における認定賞与の支給による源泉徴収所得税についてされた納税の告知は、徴収権の消滅時効が完成した後にされたものであつて違法である。
4. 原告の所得等の認定について
(一) 原告の本件第一事業年度の普通所得について
(1) 原告は、被告主張の本件第一事業年度の普通所得は、仮に存在するとしても、被告がそれを発見したのは、本件第一事業年度分法人税再更正後のことであるから、右脱漏所得の存在をもつて、その発見前にされた再更正の適法性を理由づけることは許されないと主張する。
しかしながら、課税要件の存在を争つて課税処分の取消しを求める訴えにおける審理の対象は、課税要件が客観的に存在するか否かであつて、被告課税庁は、課税処分当時は認識しておらず、したがつて、課税処分の根拠としなかつた事由であつても、課税要件が客観的に存在することを理由づけるものであれば、これを訴訟上主張して、課税処分の適法性を主張することも許されると解すべきであるから、原告の右主張は失当である。
(2) また、原告は、改正法による改正前の旧法人税法には、法人の所得の計算につき推計を許した規定は存在しないにもかかわらず、被告が原告の本件第一事業年度の普通所得を推計によつて主張するのは失当であると主張する。
しかしながら、納税義務者の所得の実額を把握するに足りる資料が存在しないからといつつて、課税をすることができないとすれば、租税の公平な負担を貫徹することはとうていできないから、所得の推計を許す規定の有無にかかわりなく、推計によつて納税義務者の所得を認定することは、その必要があり、かつ、推計の方法が合理的なものである限り、許されないわけではないと解すべきである。したがつて、原告の右主張も失当である。
(3) そこで、進んで、原告の本件第一事業年度の普通所得の金額について検討する。
(イ) 原告の本件第一事業年度における別紙第一目録記載の収支計算中、損失の部のくず鉄原価及び法人税損金計上否認並びに利益の部のくず鉄・運賃等売上げを除くその余の収支計算は当事者間に争いがない。
(ロ) くず鉄の売買取引について
(a) 証人人見和一の証言及びこれにより成立の認められる乙第一号証の一から三まで、証人成田栄の証言及びこれにより成立の認められる乙第一号証の五、六及び乙第二二号証の一、二、証人中山五郎の証言(第一回)により成立の認められる乙第一号証の一〇、一一、同証人の証言(第二回)により成立の認められる乙第三一号証から第四一号証まで並びに証人平山平吾の証言により成立の認められる乙第二二号証の三によれば、東京都品川区大井鈴ケ森町一、九三五番地の「鈴木商事」は、昭和二四年二月三日から昭和二五年一月三一日までの間に、東芝に対し鋼くず合計六四一トン四三〇キログラムを売り渡したこと。右鋼くずのうち四八九トン二九〇キログラムは、右「鈴木商事」が東芝の代理人として東芝が商工省から受けた配給割当てに基づき公団から払下げを受けるという形式で、しかし、実質上は自ら買主として公団から払下げを受けたものを東芝に転売したものであること、右「鈴木商事」の東芝に対する鋼くずの売上げ金額は、公団からの払下げ鋼くず四八九トン二九〇キログラムの分が合計一、四一八、九三四円、その余の鋼くず一五二トン一四〇キログラムの分が合計五一九、九五一円であることが認められる。
また、成立に争いのない乙第三号証の一、二及び証人矢田進の証言によれば、右「鈴木商事」は、昭和二四年三月一六日から昭和二五年一月二一日までの間に小林金属に対しくず鉄合計四六九トン八四〇キログラム(内訳鋼くず一一九トン六三〇キログラム、ダライ粉等鋼くず以外のくず鉄三五〇トン二一〇キログラム)を代金合計六九五、一七六円で売り渡したことが認められる。
更に、証人荒川照雄の証言及びこれにより成立の認められる乙第二号証の一、二並びに弁論の全趣旨によれば、右「鈴木商事」は、昭和二四年八月二二日から昭和二五年一月二三日までの間に金属興業に対しくず鉄合計二四五トン四一四キログラム(内訳鋼くず二二八トン五七四キログラム、ダライ粉等鋼くず以外のくず鉄一六トン八四〇キログラム)を代金合計六〇一、九八三円五〇銭で売り渡したことが認められる。
(b) ところで、被告は、右くず鉄の売買取引を行つた「鈴木商事」は原告である旨主張するのに対し、原告は、右「鈴木商事」の経営者は鈴木タツ及び小野馬雄であつて、原告とは関係がない旨主張するので、この点について判断する。
(あ) 前示乙第一号証の一〇、一一、乙第二二号証の一、二及び乙第三一号証から第四一号証まで並びに証人成田栄の証言によれば、右「鈴木商事」は、東芝から、公団買上物資鋼くずの割当てに関する一切の権限を品川区大井鈴ケ森町一、九三五番地の「合資会社鈴木商事責任者鈴木新太郎」に委任する旨の昭和二四年一一月一〇日付の委任状の交付を受け、これを公団に提出して、同年一二月一日から昭和二五年一〇月二六日までの間に、東芝の代理人である「鈴木商事合資会社大森営業所鈴木新太郎」あるいは「(合)鈴木商事鈴木新太郎」あるいは「鈴木商事合資会社鈴木新太郎」という名を表示して、鋼くずの売払契約を締結したことが認められる。
(い) 前記(a)における認定に供した各証拠によれば、金属興業及び小林金属とくず鉄の売買取引をした「鈴木商事」も合資会社であつて、個人企業ではなかつたことが認められる。
(う) 成立に争いのない乙第二四号証によれば、原告は、昭和二二年三月二五日以降、鉄鋼及び非鉄金属売買業を会社の目的の一つとして登記していることが認められる。
(え) 成立に争いのない乙第一二号証の一から三までによれば、原告は、昭和二四年五月一四日、電話加入権大森局四二六五番を取得し、品川区大井鈴ケ森町一、九三五番地に電話の設置を受けたこと(なお、この電話加入権は、昭和二九年四月一七日に原告から鈴木タツに譲渡された)が認められる。
(お) 成立に争いのない乙第八号証の一、二及び乙第一〇号証の二、三によれば、鈴木タツは、原告代表者鈴木新太郎の妹であり、昭和二三年一二月から少なくとも昭和二四年一二月まで原告に事務員として勤務し、運転手の世話などの雑用をして、月額約三、〇〇〇円の給与の支払いを受けていたことが認められる(この認定に反する証人鈴木タツ、同小野馬雄、同清本敏克、同丸山録郎及び同鈴木幸子の各証言並びに原告代表者鈴木新太郎尋問の結果は信用しない。)。
(か) 成立に争いのない乙第一三号証の二、三、証人黒沼逸郎の証言及びこれにより成立の認められる乙第一三号証の一によれば、鈴木タツは、昭和二四年一二月二五日、協和銀行初台支店に東芝が振り出した金額三〇〇、〇〇〇円の小切手を持参して支払いを求めたが、その際、同人は、「鉄鋼非鉄金属鈴木商事合資会社」という肩書きのある同人の名刺を銀行に交付したこと、右名刺には、本社として原告の当時の所在地が出張所として前示「鈴木商事」の所在地と同じ大井鈴ケ森町一、九三五番地がそれぞれ表示されていたことが認められる。
(き) 前示乙第一〇号証の二、三、成立に争いのない乙第七号証、証人鈴木タツ及び同小野馬雄の各証言並びに弁論の全趣旨によれば、鈴木タツ及び小野馬雄は、内縁の夫婦であつて、本件係争事業年度当時品川区大井鈴ケ森町一、九三五番地に居住していたが、両名とも昭和二四年分及び昭和二五年分の個人事業所得について所轄の品川税務署長に申告をしていないことが認められる。
(く) 前示乙第一〇号証の二、三及び弁論の全趣旨により成立の認められる甲第一八号証によれば、鈴木タツは、昭和二六年二月一八日付で品川税務事務所長に対し品川区大井鈴ケ森町一、九三五番地において鋼鉄金物商を同月一一日(本件第二事業年度終了後である。)に関業した旨の開業届を提出したことが認められる。
以上の事実に照らし、東芝等とくず鉄の売買取引をした「鈴木商事」は、鈴木タツ及び小野馬雄の経営にかかるものである旨の前示乙第一〇号証の二、三、証人矢田進同鈴木タツ及び同小野馬雄の各証言並び原告代表者鈴木新太郎尋問の結果は、とうてい信用することができない。
かえつて、以上の事実によれば、原告は、品川区大井鈴ケ森町一、九三五番地に出張所を設けてくず鉄の売買取引をしていたものであり、前示「鈴木商事」は原告であると認めるのが相当である。
そうすると、原告が本件第一事業年度において、東芝等に売り渡したくず鉄の数量及び販売金額は、別紙第二目録の一の1から4までに記載のとおりであると認められる。
(c) ところで、原告が右のとおり東芝等に売り渡したくず鉄の仕入金額については、直接にこれを知ることができないから、推計によつて認定するほかはない。
そして、前示乙第一号証の一〇、一一によれば、原告は、公団から昭和二四年一二月一日付及び同月一三日付の各売払契約書に基づき鋼くず合計一九五トンを代金合計二三四、五〇〇円で買い受けたことが認められる。これに基づいて鋼くずのトン当たり単価を計算すると、一、二〇二円五七銭となる。
また、成立に争いのない乙第四号証によれば、原告の本件第一事業年度決算報告書中の財産目録資産の部仕入商品欄に、「ダライ粉一五トン一、二〇〇円」と記載されていることが認められる。これによりダライ粉のトン当たり単価を計算すると、八〇円となる。
そうすると、原告が東芝等に売り渡したくず鉄のうち鋼くずについては、トン当たり一、二〇二円五七銭、ダライ粉その他鋼くず以外のくず鉄についてはトン当たり八〇円の各単価に基づき、その仕入金額を別紙第二目録の二記載のとおり算定した被告の推計には合理性がある(なお、被告は、原告が小林金属及び金属興業に売り渡したくず鉄は、原告が公団から払下げを受けた鋼くずのうち、東芝の検査に不合格となつた剰余分であると主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。)。
(ハ) 運賃等売上げについて
成立に争いのない乙第六号証の一、二と前示乙第一号証の二、乙第二号証の二及び乙第三号証の二とを対比検討すると、千代田銀行立会川支店の鈴木辰名義の当座預金口座には、東芝、小林金属及び金属興業が前認定のとおり「鈴木商事」すなわち原告に対してくず鉄の買受代金の支払いのために振り出した小切手が多数振込み入金されていることが認められる。この事実に、「鈴木商事」のくず鉄売買取引について認定した諸事実(前記(ロ)(b))を総合すれば、右鈴木辰名義の右預金口座は、原告のものであると認めるのが相当である。
また、成立に争いのない乙第五号証の三、四によれば、千代田銀行吉祥寺支店の鈴木新太郎名義の当座預金口座には、同銀行同支店の原告名義の当座預金口座に振込み入金された他店小切手の振出人と同一人の振出しにかかる小切手が多数振込み入金されていること及び昭和二五年一月二三日、前記のとおり原告の預金であると認められる千代田銀行立会川支店の鈴木辰名義の預金を資金とする金額五〇、〇〇〇円の小切手が振込み入金されていることが認められる。この事実に、原告代表者鈴木新太郎尋問の結果及び原告は鈴木新太郎の経営にかかる個人企業同然の会社であつたこと(弁論の全趣旨によつて明らかである。)を合わせ考えると、右鈴木新太郎名義の預金口座もまた原告のものであると認めるべきである。
そして、前示乙第五号証の三、四及び乙第六号証の一、二、成立に争いのない乙第二〇号証の一、二並びに証人大谷哲郎及び同平山平吾の各証言によれば、原告の預金口座であることが明らかな千代田銀行吉祥寺支店及び富士銀行吉祥寺支店の原告名義の各当座預金口座並びに前示のとおり原告の預金口座であると認められる千代田銀行立会川支店の鈴木辰名義の当座預金口座及び同銀行吉祥寺支店の鈴木新太郎名義の当座預金口座には、本件第一事業年度中に大和運輸その他(ただし、東芝、小林金属及び金属興業を除く。)の振出しにかかる他店小切手の振込みによつて入金した金額で、原告の総勘定元帳に入金の記帳がないものが合計六七七、五四〇円二九銭あることが認められる。
これらの入金のうち、鈴木辰名義の前記預金口座に昭和二四年一〇月二二日に入金した北多摩小型運送振出しの小切手金額五〇、〇〇〇円を除くその余の六二七、五四〇円二九銭は、貸金の返済、借入金、預り金等の受入れ、原告の他の預金口座からの振替えその他原告の収入に当たらない入金であると疑うべき資料がないことその他弁論の全趣旨に照らし、原告の運賃収入その他の売上げ収入であつて、原告の帳簿に計上もれのものであると推認するのが相当である。
(ニ) 法人税の損金計上否認について
原告が本件第一事業年度分法人税確定申告書添付の損益計算書の損失の部に未納法人税二五〇、九五四円八〇銭を計上したことは当事者間に争いがない。
そして、改正法によると改正前の旧法人税法第九条第二項は、法人が各事業年度において納付し又は納付すべき法人税は、普通所得の計算上、これを損金に算入しない旨定めており、過年度分の未納法人税であるからといつて、これを損金に計上することが許されるいわれはないから、被告が本件再更正において、原告の右損金計上を否認したのは正当である。
(ホ) 以上のとおりであるから、被告が、原告の本件第一事業年度の収支計算(別紙第一目録記載のとおり)中、損失の部にくず鉄原価として別紙第二目録の二記載のとおりの合計一、二一九、四六八円一四銭を計上したこと及び法人税二五〇、九五四円八〇銭の損金計上を否認したことは、いずれも正当であり、また、利益の部にくず鉄・運賃等値上げとして計上した三、九二三、五八四円七九銭のうち、別紙第二目録の一の1から4までの金額欄記載の金額及び同5の金額欄記載の金額のうちの六二七、五四〇円二九銭の合計三、八六三、五八四円七九銭の部分は、少なくとも正当である。
そうすると、原告の本件第一事業年度の普通所得は、少なくとも二、五〇〇、七七四円一三銭となるから、被告が本件再更正において原告の普通所得を右金額の範囲内で二、四三二、九〇〇円と認定したのは適法である。
(二) 原告が本件第一事業年度中に代表者に対して支給した賞与の認定について
被告は、原告が本件第一事業年度中に代表者鈴木新太郎に対して賞与を支給したものと認定した根拠として、原告の同事業年度の利益金は全額同事業年度中に社外に流出したとし、鈴木新太郎の個人財産は同事業年度以降異常に膨脹しているから、同人はこれを原告の利益金によつて取得したものと認めるのが相当であると主張する。
しかしながら、被告が鈴木新太郎の個人財産の異常な膨脹として指摘する事実(被告の答弁及び主張5(二)(2)の(イ)、(ロ)、(ハ))は、いずれも本件第一事業年度終了後相当の月日を経過した後である昭和二五年一二月以降のことに属するから、仮に、原告の同事業年度の利益金が原告の簿外資産として留保されず、社外に流出したものとしても、被告が指摘する鈴木新太郎の右個人財産の膨脹の事実からは、右社外流出の時期が同事業年度中であつたと推断することは困難であり、他に、原告の同事業年度の利益金が同事業年度中に鈴木新太郎の個人財産の取得のため費消されるなどして社外に流出したと認めるに足りる証拠はない。
そうすると、原告が同事業年度中に代表者鈴木新太郎に対して賞与を支給したものと認定してた被告の源泉徴収所得税の納税の告知は違法である。
(三) 原告の本件第二事業年度の所得について
(1) 原告の本件第二事業年度における別紙第三目録記載の損益計算のうち、損失の部のくず鉄等仕入れ及び租税公課並びに利益の部のくず鉄等売上げを除くその余の計算は当事者間に争いがない。
(2) くず鉄等の売買取引について
(イ) 前示乙第一号証の二及び乙第三号証の二によれば、原告は、
(a) 昭和二五年二月一三日から昭和二六年一月三一日までの間に、東芝製鋼(前示乙第一号証の一及び成立に争いのない乙第五〇号証によれば、東芝製鋼は、東芝足立工場が昭和二五年二月一一日に株式会社足立製鋼所として東芝から分離独立し、昭和二七年一二月一日に東芝製鋼株式会社と商号変更したものであることが明らかである。)に対し、鋼くず合計四七九トン九四〇キログラムを売り渡したこと、右売渡代金は、被告主張の合計二、〇八六、八〇二円を下らないこと。
(b) 昭和二五年八月二三日、東芝製鋼からアングル九トン八五三キログラムを代金合計二四〇、四〇二円五〇銭で買い受けたこと。
(c) 同年二月八日から同年一二月二八日までの間に小林金属に対しくず鉄合計一一九トン〇四九キログラムを代金合計三一八、八〇八円で売り渡したこと。
がそれぞれ認められる(これらくず鉄の売買取引を行つたのは原告ではなく、訴外の鈴木商事である旨の原告の主張を採用するに由ないことは、本件第一事業年度におけるくず鉄の売買取引について前に判示したところ((一)(3)(ロ)(b))に照らし明らかである。)。
(ロ)(a) 東芝製鋼に売り渡した鋼くずの仕入金額について
前示乙第一号証の一〇、一一及び乙第三一号証から第四一号証までによれば、原告は、公団から、割当切符二四鉄第八一〇号(以下「割当切符(1)」という。)及び割当切符東産総復第一一号(以下「割当切符(2)」という。)に基づき、別紙第四目録の三の(1)、(2)記載のとおり鋼くずを買い受けたことが認められる。
右事実によれば、割当切符(1)に基づく買入総数量は三九九トン九四六キログラムであり、そのうち本件第二事業年度中の買入数量は、第一回及び第二回分を除くその余の二〇四トン九四六キログラムであること(なお、第六回から第八回までの買入数量の合計は、買入総数量三九九トン九四六キログラムから、第一回から第五回まで及び第九回から第一一回までの買入数量の合計三五七トン〇九〇キログラムを控除した残数量四二トン八五六キログラムである。)及び割当切符(2)に基づく買入れ分のうち、本件第二事業年度中の買入れであることが明らかな第四回から第八回までの買入数量の合計は九六トン二三〇キログラムであることが明らかである。
したがつて、原告が公団から本件第二事業年度中に買い入れたことが明らかな鋼くずは、割当切符(1)に基づく二〇四トン九四六キログラム及び割当切符(2)に基づく九六トン二三〇キログラムの合計三〇一トン一七六キログラムであるということになる。
そして、原告は、前認定のとおり、本件第二事業年度中に東芝製鋼に対し合計四七九トン九四〇キログラムの鋼くずを売り渡したのであるが、そのうち三〇一トン一七六キログラムは、原告が右のとおり公団から本件第二事業年度中に買い入れたものであり、その余の一七八トン七六四キログラムは、原告が公団から割当切符(2)に基づき第一回から第三回までに買い入れたもの又は一般のくず鉄所有者から買い入れたものであると推認するのが相当である。
そこで、右鋼くずの買入金額について検討すると、割当切符(1)に基づく買入れ分のうち、第六回から第八回までの買入れ分を除くその余の一六二トン〇九〇キログラムの買入代金は、別紙第四目録の三(1)記載のとおりであり、その合計は三〇八、〇三四円(別紙第四目録の二1(イ)(1)記載のとおり)であり、割当切符(2)に基づく買入れ分のうち、第四回から第八回までの買入れ分合計九六トン二三〇キログラムの買入代金は、別紙第四目録の三(2)記載のとおりであり、その合計は一七九、五〇八円(別紙第四目録の二1(イ)(2)記載のとおり)であることが明らかである。
また、割当切符(1)に基づく第六回から第八回までの買入れ分合計四二トン八五六キログラムの買入代金は明らかでないが、被告が、買入時期の近接している第五回及び第九回の買入れ分の各トン当たり単価の平均値二、六二三円を右四二トン八五六キログラムの買入単価とみなして、その買入代金を合計一一二、四一一円(別紙第四目録の二1(ロ)(1)記載のとおり)と推計したことには合理性がある。
更に、その余の一七八トン七六四キログラムについては、その買入時期、買入先及び買入代金が不明である。被告は、右買入代金を、割当切符(2)に基づく第四回分の買入単価トン当たり二、一四九円に基づき、三八四、一六三円(別紙第四目録の二1(イ)(2)記載のとおり)と推計しているが、原告が前記のとおり本件第二事業年度中に公団から買い入れた鋼くず合計三〇一トン一七六キログラムの代金は合計五九九、九五三円であつて(別紙第四目録の二1(イ)(1)、(2)及び(ロ)(1))、その単価は一、九九二円となることに照らし、被告が行つた右推計は、原告にとつて利益ではあつても不利益ではないから、合理性を失わないというべきである。
そうすると、原告が東芝製鋼に対して売り渡した鋼くずの仕入金額は、別紙第四目録の二1記載のとおり合計九八四、一一六円となる。
(b) 小林金属に売り渡したくず鉄の仕入金額について
被告は、原告が小林金属に売り渡したくず鉄合計一一九トン〇四九キログラムの仕入金額をダライ粉の仕入単価に基づいて推計している。
しかしながら、前示乙第三号証の二(小林金属の仕入先元帳)によれば、原告が小林金属に売り渡したくず鉄のうち、昭和二五年二月二七日売渡しの合計一一トン四一〇キログラムは、右元帳に「1級」と表示されているくず鉄で、その売渡単価はトン当たり三、四〇〇円であること、同年一〇月二五日売渡しの八八〇キログラム及び同年一二月一一日から同月二九日までに売渡しの合計二三トン二〇九キログラムは、前記元帳上「1級」、「2級」、「赤バラ」等と表示されているくず鉄で、その売渡単価はトン当たり四、八〇〇円から七、〇〇〇円であること、以上の合計三五トン四九九キログラムを除くその余の八三トン五五〇キログラムは、前記元帳上「ダライ粉」、「カサモノ」、「鉄屑」と表示されているくず鉄で、その売渡単価はトン当たり九〇〇円から二、一〇〇円までであることが認められる。
そうすると、被告がこれらくず鉄の仕入金額を一律にダライ粉の仕入単価に基づいて推計しているのは不合理であるというほかない。そして、これらくず鉄のうち前記合計三五トン四九九キログラムの売渡単価は、原告の東芝製鋼に対する鋼くずの売渡単価(前示乙第一号証の二によつて明らかである。)と近似しているから、その仕入金額は鋼くずの仕入単価に基づいて推計し、その余の八三トン五五〇キログラムの仕入金額はダライ粉の仕入単価に基づいて推計するのが合理的である。
そして、前示昭和二五年二月二七日売渡しのくず鉄合計一一トン四一〇キログラムの仕入金額は、時期的に近接している割当切符(1)に基づく第二回及び第三回買入れにかかる鋼くずの買入数量及び金額(別紙第四目録の三(1)記載のとおり)から求められるトン当たり単価の平均値二、一〇〇円に基づき二三、九六一円と推計される。
また、前示昭和二五年一〇月二五日売渡しの八八〇キログラム及び同年一二月一一日から同月二九日までの売渡しの合計二三トン二〇九キログラムの仕入金額は、時期的に近接している割当切符(1)に基づく第九回から第一一回までの買入れにかかる鋼くずの買入数量及び金額(別紙第四目録の三(1)記載のとおり)から求められる平均単価トン当たり三、四九九円に基づき八四、二八七円と推計される。
更に、その余の八三トン五五〇キログラムの仕入金額は、ダライ粉の仕入単価はトン当たり八〇円(成立に争いのない乙第二八号証の二によれば、原告の本件第二事業年度営業報告書中の財産目録資産の部仕入商品の欄に「ダライ粉、一五トン一、二〇〇円」との記載があるので、これによりダライ粉の仕入単価はトン当たり八〇円と計算される。)に基づき六、六八四円と推計される。
そうすると、原告が小林金属に売り渡したくず鉄合計一一九トン〇四九キログラムの仕入金額は、以上の合計一一四、九三二円となる。
(c) アングルの売上金額について
原告は、前認定のとおり東芝製鋼からアングル九トン八五三キログラムを買い入れたが、右アングルは、原告の本件第二事業年度営業報告書(前示乙第二八号証の二)中に期末たな卸商品として記載されていないこと(右営業報告書中の財産目録資産の部仕入商品欄にアングルが計上されているが、原告の本件第一事業年度決算報告書(成立に争いのない乙第四号証)中の財産目録にもこれと全く同一の記載があるから、これは、原告が本件第二事業年度中に東芝製鋼から買い入れたアングルではないことが明白である。)、その他弁論の全趣旨によれば、原告は、これを買入れ後遠くない時期(少なくとも本件第二事業年度中)に他に売却したものと推認される。
右アングルの売上金額は明らかでないからこれを推計するほかないが、被告は、原告が公団から買い入れて東芝製鋼に売り渡した鋼くずの買入金額と売上金額の比率に基づいてこれを五〇九、三二六円と推計しており、右推計に不合理はない。
(3) 租税公課について
(イ) 原告が本件第二事業年度分法人税確定申告書添付の損益計算書の損失の部に租税公課として六一四、三七一円一〇銭を計上したこと及びそのうち二六二、六三九円は法人税であり、五八、七二〇円は資産再評価税であつたことは当事者間に争いがない。
(ロ) しかし、改正法による改正後の旧法人税法第九条第二項及び資産再評価法第一二〇条は、法人が各事業年度において納付した又は納付すべき法人税及び再評価税は、所得の計算上これを損金に算入しない旨定めており、原告主張のように過年度分の未納法人税又は再評価税であるからといつてこれを損金に計上することが許されるいわれはない。
(ハ) 他方、原告の前事業年度(本件第一事業年度)分法人税再更正にかかる普通所得に対応する未納事業税の額が二九一、九四〇円をこえないことは、原告の明らかに争わないところである。
(ニ) したがつて、被告が本件第二事業年度分法人税更正において、原告が損金に計上した租税公課六一四、三七一円一〇銭から、法人税二六二、六三九円及び資産再評価税五八、七二〇円を控除し、未納事業税二九一、九四〇円を加算した五八四、九五二円一〇銭をもつて、原告の本件第二事業年度の所得の計算上損金に算入すべき租税公課として認めたのは、正当である。
(4) そうすると、原告の本件第二事業年度の損益計算において、利益の部に計上すべきくず鉄等売上げの金額は、東芝製鋼に売り渡した鋼くずの代金額二、〇八六、八〇二円(前記(2)(イ)(a)において認定したとおり)、小林金属に売り渡したくず鉄の代金額三一八、八〇八円(前記(2)(イ)(c)において認定したとおり)の合計二、九一四、九三六円(別紙第四目録の一記載のとおり)であり、損失の部に計上すべきくず鉄等仕入れの金額は、東芝製鋼に売り渡した鋼くずの仕入金額九八四、一一六円(前記(2)(ロ)(a)において認定したとおり)、小林金属に売り渡したくず鉄の仕入金額一一四、九三二円(前記(2)(ロ)(b)において認定したとおり)及び東芝製鋼から買い受けたアングルの代金額二四〇、四〇二円五〇銭(前記(2)(イ)(b)において認定したとおり)の合計一、三三九、四五〇円五〇銭であり、その余の損益の各科目に計上すべき金額(ただし、当期利益金の額を除く。)は、別紙第三目録記載のとおりであることになる。
したがつて、これに基づいて原告の本件第二事業年度の利益金の額を算出すると、一、〇一一、四三七円九三銭となることが明らかである。
よつて、被告がした原告の本件第二事業年度分法人税更正のうち所得金額一、〇一一、四三七円九三銭をこえる部分は、所得金額を過大に認定した違法があるが、その余の部分は適法である。
三、結論
以上のとおりであつて、原告の請求中、本件第一事業年度分法人税再更正の取消しを求める請求は理由がないから、これを棄却し、本件第二事業年度分法人税更正の取消しを求める請求は、所得金額一、〇一一、四三七円九三銭をこえる部分の取消しを求める限度で理由があるから、これを認容するが、その余は理由がないから、これを棄却し、本件各事業年度中の認定賞与の支給による源泉徴収所得税についてされた各納税の告知の取消しを求める請求は、いずれも理由があるから、これを認容することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第九二条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 杉山克彦 裁判官 青山正明 裁判官 石川善則)
第一目録
本件第一事業年度収支計算表
<省略>
第二目録の一
くず鉄・運賃等売上げ(第一目録「利益の部」記載)明細
<省略>
第二目録の二
くず鉄原価(第一目録「損失の部」記載)明細
<省略>
第三目録
本件第二事業年度損益計算書
<省略>
<省略>
第四目録の一
くず鉄等売上げ(第三目録「利益の部」記載)明細
<省略>
第四目録の二
くず鉄等仕入れ(第三目録「損失の部」記載)明細
<省略>
第四目録の三
産業復興公団よりのくず鉄等仕入れ(第四目録の二、1記載)明細
(1) 割当切符二四鉄第八一〇号分 割当数量 四〇〇屯
<省略>
(2) 割当切符東産総<復>第一一号分 割当数量 四九〇屯
<省略>
第四目録の四
アングル仕入れ(第四目録の二2(ロ)記載)明細
<省略>